ミュージックインストラクターズ養成学院

卒業後の活動

音楽療法士

吉森 哲さん (北海道)

ロック中年の挑戦!!(A君への手紙)

私は当学院で音楽療法士資格を取得以降、北海道の十勝管内・帯広市を基点に各公共施設、市町村教育委員会主催の高齢者学級や各種団体での音楽療法講座等を中心に活動を行っていますが、今日は資格取得以前からセッションにお伺いしていた帯広市のK小学校特別支援学級での取組についてご報告をさせていただきます。

 

このK小学校には当学院で音楽療法を学び始めたころから、その学級の先生達と知り合いだったこともあってセッションにお伺いするようになりました。初めて伺った時はまだ私自身「音楽療法のセッションそのもの」が未経験であったこともあって、当学院のテキストや様々な文献、音譜等を漁りながら必死に自分なりにプログラムを完成させ、初めての「音楽療法セッション」をセラピストとして体験することになりました。
初めてのセッションは不安で一杯だったのは当然の事としても、「まだ勉強を始めたばかりで、しかもセッション未経験の自分が子ども達を自分の『実験材料』のようなものにしてしまうのではないだろうか?」といった、ある意味「罪悪感」のようなものにも苛まされながらその教室に入りました。

 

ちなみに私自身は幼少の頃にピアノを少々習った経験はありますが、中学時代から熱烈な「ロック少年」で中一でギターを始め、高校入学直後からエレキベースに目覚め、以降音楽面に関しましてはまさに「ロック一筋」で、「音楽大学」という存在だけは知っている。という程度でした。お恥ずかしい話ギター、ベースと楽器を覚えてバンド活動を今に至るまで続けていますが、実はいずれもいわゆる「エレキ楽器」でアコースティックギターについても「あんなものはロックンローラーになり切れない奴が使うもの」といった先入観があり、「楽譜だって読めないほうがカッコいい!」とバンドのメンバー全員で言っていました(私自身は幼少の頃少しピアノをやっていましたので、若干読めましたが)。

 

そんな私が自分自身の体調や、家族の問題等もあって「音楽療法」というものを知り、しかも恐れ多くも「音楽療法士」になろうというのだからこれは大変です。古くからのバンド仲間には「お前ロックしかやった事ないのに、そんなの無理だよ」といったことも散々に言われました。「しかし音楽療法士になりたい!」と思ったらどうしてもなりたい自分は当学院の認定資格取得を目指すことにしたのです。
入学して初めてのスクーリングの時先生に「実は自分はロックバンドしかやったことがなくて、ハッキリ言ってコードしかわからない」と正直に打ち明けました。しかし「音楽療法士にとってコードを知っているのは最大の武器」という言葉を先生からいただき、勇気百倍!「絶対音楽療法士になってやる!」と益々決意が強くなりました。

 

さて、話は K小学校の特別支援学級に戻りますが、前述したようなたくさんの不安と罪悪感の中で初めての「私のセッション」が始まりました。「40の手習い」で再び弾き始めたピアノに自信がないため、伴奏は高校時代のバンド仲間だったピアノ教師の先生にお願いしました。そして「セッションのためだけに」ついにアコースティックギターも購入をしました。
最初のセッションの時、私にはまったく子ども達に目を配る余裕はなく、「あの子はこんな感じだった」と伴奏で同行していただいたピアノ教師の先生に後で教えられ、状況を知るような始末でした。
初セッション終了後、この学級の先生達から「もう来なくて結構」みたいに言われたら「自分にはそれだけの力しかないのだから、もう一度勉強しなおそう」と思いながら、自分なりにセッション記録を残したりしていました。

 

しかし、しばらくするとその学級の先生から「子ども達が喜んでいるので、また来てほしい」というお電話をいただき、その教室へ定期的に伺う事が出来るようになりました。
やがて当学院から音楽療法士資格をいただき、回数を重ねるごとに次第に私も子ども達を見る余裕が出来てきました。
その中で本当にたくさんの子ども達と出会う事が出来ました。2010年3月には私が初めてお伺いをした時からずっとセッションに参加をしてくれた車椅子にのっている子(A君)が卒業するという事で、卒業記念になったかどうかは自信がありませんが「A君ありがとう!」という曲をその子のために作り、その子にとって「小学校での最後のセッション」のおわりの曲として子ども達と一緒に演奏をしました。PCを使って楽譜とCDを作成しその子のご両親にもお渡しする事が出来ました。
「やっぱり音楽療法士を目指したのは間違いじゃなかった!」

勉強を始めたころ多くの仲間から「音楽療法士は音大などでキチンとピアノの勉強とかをしていないと無理だ」と言われましたが、それは先入観です。だって、ロックバンドしかやったことのない「永遠のロック小僧」であればカッコいいけど、ただの「ロック大好き中年」の私がこうやってセッション活動を続けているのですから!

 

最後にA君への手紙として
「この学級に遊びに来るようになって3年。初めからずっと参加し続けてくれて本当にありがとう!A君からたくさんの元気や勇気や感動をもらったよ。そのお礼が言いたくて手紙のつもりで作った曲がこの『A君ありがとう!』です。遅れてもいいし、不器用でもいいからやりとげた何かに感動できる人生を送ってね」