ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第三十七回「音楽療法の回想」

第三十七回特別養護老人ホームすばるでの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム・記録等を報告させていただきます。

 

 

[アセスメント]

今回の実施は、施設による「七夕行事」を兼ねた内容にて実施致しました。
音楽療法の前に、7月のお誕生日の方をお祝いし、その後に七夕の事を話しし、そして「七夕さま」を皆様と一緒に歌唱。
その後に音楽療法に入ります。

人数は、約45名程集まっていただきました。
お誕生日の方は最前列になりました。

お誕生日のお祝いをした後に、セラピストから話を伺うと「いや!恥ずかしい!」と照れて居られる方が多くいらっしゃいました。
他にも誘導時には多くの方に「こんにちは」と声を掛けていただき、実施前まではなるべく多くの方に声を掛けさせていただきました。

お誕生日祝い→七夕の話、とスタッフ様と一緒にさせていただき、その後「七夕さま」の歌唱に入りました。
手拍子をとりながら皆さまに模造紙を見ながら歌唱していただきました。

今回はいつもの実施時間より10分早くのスタートになります。

 

 

[プログラム]

1.挨拶
改めて音楽療法の挨拶をし、見当識を取らせていただきました。

 

 

2.準備運動
呼吸を整え、発声は今回は先ほどの「七夕さま」を歌唱していただけたので省略になります。

 

 

3.季節の歌
「夏は来ぬ」を歌唱。歌唱前に少しの説明、その後歌唱後には更なる説明を加えて、同時に質疑応答をしました。

→夏の曲、季節に合わせて「夏は来ぬ」を歌唱しました。先ずは曲の年代の話や「夏は来ぬ」という言葉の意味を少し説明し、その後歌唱に入りました。
歌唱自体には問題なくしっかりと大きな声も出ておりました。
後列のベッドで来られていた方もスタッフ補助ありながらもしっかりと口を動かし唄われていました。
5番までの長い曲になりますが特に声量が落ちる事なくしっかりと唄われていました。

歌唱後には、曲の歌詞を説明しました。
そして同時に質疑応答をしました。

「卯の花とはどのような花?」と聞くと前列の方が「菜種の花のこと?」と答えていただけたり、他にも「橘の花はこの辺りでありますか?」「楝という花は知ってますか?」等季節らしい質疑応答を皆様に答えていただきました。 他にも「苗を植える事は皆様された経験があるかと思いますが、」という内容で共感される方がいらっしゃったのでその方に話を伺ったりとコミュニケーションを取りつつ当時の様子も教えていただきました。

 

 

4.手遊び歌
「うみ」の曲を歌唱。そして同時に手遊びを実施。手遊び内容は、①グーチョキパー手拍子  ②手拍子パーチョキグー  ③セラピストの手遊びを真似する  というもので実施。

→手遊び歌のプログラムに入る前に、皆様に「7月には祝日が1日だけあります。何の日かご存知ですか?」と聞くと、小さな声で「海の日!」と答えていただけました。 それに合わせ、今回は「うみ」を実施しました。
歌唱自体には全く問題なく、3番までしっかりと歌唱していただけました。
その後、手遊びを①②③と一番二番三番と順に実施しました。
なるべくゆっくりとしていったため参加率は非常に高く同時の歌唱もできていました。
手遊びにて気付いたことは、皆様が手を出されるときにしっかりと手を上に挙げて指の体操をされていました。
腕の可動領域が少し狭かった方が今回は、他の方につられて手を上げようとする姿が見れました。
そして、③の手遊びでは、今回はセラピストの手遊びを真似するという内容になります。
順番通りではなくランダムにグーチョキパーを出すのでしっかりと注意されながら手遊びを参加して、咄嗟の判断も皆様ができていました。

今回の手遊びは、後のスタッフ様との打ち合わせにて、身体の麻痺のある方でもできやすく、動かしておられたので参考になった、とも教えていただきました。

 

 

5.合奏
「我は海の子」の曲に合わせ合奏を実施。
合奏内容は基本的に三三七拍子をとり、途中で楽器を振るという内容も入れる。
合奏リズムは模造紙に書いており、それに合わせ実施。

→曲としては、やはり人気曲でもあり参加率はほぼ全員になります。
今回は鳴子をメインの楽器とし、配らせていただきました。
一度三三七拍子を練習したときに、三三七拍子で止まらずそのまま鳴らす方がいらっしゃり、他の方が笑われる姿も見れました。
本番では、しっかりと止めたり振ったりとできており非常に盛り上がる内容の合奏ができました。中には曲に合わせ唄われる方もいらっしゃり楽器の音に負けないように大声を出されていました。
本番はみごとに成功し、次に来月唄う曲の予習を兼ねて合奏をもう一曲実施しました。
それは「炭坑節」になり、こちらも人気曲になります。
炭坑節の曲を少し言うと、すぐに多くの方が「月が出た出たー!」と唄われていました。
今回はリズムは4拍子で炭坑節を少しだけ実施しました。やはり人気曲もあり多くの方が唄いながらしていただき、再度盛り上がりました。
2番以降は知らない方も多かったためほとんどの方が鼻歌でリズムを取りながら楽器を鳴らされて、それに刺激され他の方が笑われていました。

 

 

6.懐メロ
先ず、昭和7年についての回想をし、その後昭和7年の「影を慕いて」を歌唱。その後、藤山一郎について振り返る模造紙を用いて振り返る。そして、振り返りつつ「丘を越えて」「青い背広で」を歌唱。

→先ず昭和7年の時代の出来事、社会、流行等を模造紙にて振り返り回想の準備をしました。
当時の出来事で、「満州国の建国」、他にも「のらくろ」の流行、「二宮金次郎」の設置、と回想を含め質疑応答もしました。
例えば。「のらくろはご存知ですか?どういった動物でしたか?色は何色ですか?」と詳しく思い出していただく質問をすると、「漫画!」「犬!」「黒色!」「帽子かぶってたんと違うかな?」というように段々と思い出していただけました。
他にも満州国でお生まれになった方の話や、二宮金次郎が戦時中に基地に持っていかれた、などの話も伺えました。
ここで注意するのは、昭和7年ということで、今から87年前になります。もちろん生まれてる方、生まれてない方、生まれていてもまだ物心がない方と別れてしまいます。その為、今回は敢えて古い時代を選択し、「知らない。でも聞いたことはある。」という内容と「実はこの時代だったのか。」ということを回想の下準備ということで実施しています。
その後、当時の流行歌の説明をすると、
「銀座の柳」を言っても中々知られてはいません。ですが、その次に「???」藤山一郎と書いて、曲の模造紙「影を慕いて」を見ると、皆様がほぼ全員「あぁー!」と声を出していただけました。そして同時に「この時代の曲なんだ。」と関心もされていました。
先程の上記の内容に沿って、影を慕いても「この時代なんだ。」と感じていただけました。

そして、「影を慕いて」を歌唱。非常によく声も出ており、特に男性の方の伸びた声がよく届いていました。曲の説明にて「古賀政男」という言葉にも反応していただき、皆様が説明に対して頷いていただけました。

歌唱と説明後には、「今回はせっかく藤山一郎さんの曲を唄っていただけたので、藤山一郎さんについて振り返りましょう!」と言い、模造紙にて「藤山一郎」と藤山一郎さんのことについて振り返りました。
この紙を出した瞬間多くの方が前のめりになり、模造紙を見ていただき、中には説明より先に「へぇー。」と頷かれる方もいらっしゃりました。
藤山一郎さんの本名について、学生時代について、歌手としての功績などを順番に説明し、その後「曲」と書いた一覧を順番に見ていただきました。
先ずは昭和6年「酒は涙か溜息か」と見ていただき、同時期の曲を「???」と書きました。その曲にて再び模造紙をめくると「丘を越えて」を見ていただき、するとこれも同じ反応で「あー!」という声が聞こえました。
そして先程と同じく説明、歌唱をし、歌唱後にはさらに説明を加えました。
こちらも人気曲であるのでここでは多くの方が手拍子を取りながら歌唱していただけました。

次にもう一度模造紙に戻り昭和11年の「東京ラプソディ」を見ていただくと、すぐに反応していただきある男性の方がいきなり大声で「楽し都ー!」と歌唱をされました。これにも他の方が刺激になり一緒にアカペラで歌唱していただけました。
さらに模造紙を進めると、昭和12年「???」と書いているところに今回は更にもう一曲、「青い背広で」を唄っていただきました。
この曲は藤山一郎さんの曲としては他の曲に隠れてしまっている為、それが逆に「懐かしい」という反応にも繋がりました。

今回は三曲実施しましたが、それぞれの曲が短い為実施できています。それぞれの曲が新鮮そうであり歌唱の声も非常によく出ていました。
そして、最後の「青い背広で」では、後列のベッド療養の方が反応があった様子で職員の数名が非常に気にかけておられました。

最後に藤山一郎さんの曲として、昭和24年の「長崎の鐘」について少し説明をしました。
というのも、次回8月にこの曲を実施する為の予習や楽しみを含めてのことになります。

ここで、後のスタッフ様との反省会では、
特別に懐かしむということが無かったものの、皆様が口々で「知ってる」や頷かれる姿が非常に多く、説明を楽しまれて、同時に回想されていた。とのことでした。

 

 

7.クールダウン
「夕焼け小焼け」を最後は歌唱し、静かに終了しました。
今回は歌唱後に、静かな音楽でクラシック曲を掛けました。最後のBGMということでクールダウンを深める、そして終了の合図ともさせていただいております。

時間はちょうど一時間になります。

 

 

[記録・反省等]

・七夕行事を兼ねた内容のため、多くの方に集まっていただけました。その中でもアセスメント中には声を掛けていただける方がいつもより多くハキハキと喋っていただけました。

・昼食後ということもあり、傾眠されてる方が少し見られたものの、後でスタッフ様から聞くと、日中自席で物静かにされている方が積極的に参加をされて、合いの手を入れられたりと普段より活気が見られた。とのことでした。
他にも、曲によっては、涙される方がいらっしゃったり懐メロにて反応される方がいらっしゃったりと、所々にて良い反応が見られました。
普段の生活で見れないことを音楽療法の時間にしっかりと見れる、そして日中しんどそうな方や活気があまり感じれない方も音楽療法にて違う姿が見れるので、ケアにおいても音楽療法にて助かっているとのことでした。

・今回の懐メロは、「藤山一郎」について、もちろん他にも昭和7年と回想を深めていただけました。ただ唄うだけではなく、時代を追って思い出していただく。そして自分が何をしていた頃か、ということもしっかりと回想していただけました。
この方法は非常に反応がよく見れて、さらに隣同士の会話や、スタッフ様とのコミュニケーションとしての方法でもできる為、良い回想にもなりました。
以前は「ディックミネ」についての同じ方法で実施しましたが、前回よりも非常に反応がよく見れました。
ただ今回はいらっしゃらなかったのですが、昭和7年の回想時に「古いし生まれてないから知らん!」という方ももちろんいらっしゃるかと思いますので、そこは上手に説明できるか、次第かと思えました。