ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第三十三回「3年目までの経過」

第三十三回特別養護老人ホームすばるの音楽療法が終了しましたので、
アセスメント・プログラム・記録等を報告させていただきます。

 

[アセスメント]
今回は、施設内の「ひなまつり行事」の一環として音楽療法を実施致しました。
普段より数十分早く集まり、音楽療法の前に3月のお誕生日の方11名をお祝いし、その後ひなまつり行事を含んだ音楽療法を実施。

全体数は43名で、昨年の11月以来の40名越えの音楽療法になりました。
中には、セラピストと会うのが久しぶりの方もいらっしゃり、到着と同時に「お久しぶりです」と声も掛けていただきました。

実施は、普段と同じ14時からになります。

 

 

[プログラム]

1.挨拶
事前の誕生日のお祝いのこと、そして今回のひなまつり行事のことと少し話をさせていただき、はじめの挨拶とさせていただきました。

 

 

2.準備運動
呼吸法・発声法と実施。
発声法では、「ドレミ音階」「はにほ音階」とさせていただきました。

→発声法では、一音ずつ「ドレミファソラシド」と音を付けて声を出していただき、反対から「ドシラソファミレド」とも出していただきました。その後、説明を加え「はにほへといろは」と同じく音を付けて声を出し、反対の「はろいとへほには」とも声を出していただきました。
「はろいとへほには」の言葉が難しく、ごまかそうと「はろい…………」と出す方もいらっしゃり、わからない姿が可笑しくなり、非常に笑われていました。
その後、「いろはにほへと…」と一音ずつお腹から声を出す発声も実施。これなら皆様は自信満々に声を出していただき、しっかりとした発声ができました。

 

 

3.季節の歌
『うれしいひなまつり』・『仰げば尊し』を歌唱。同時に説明を加え、質疑応答も実施しました。

→ひなまつり行事ということもあり、『うれしいひなまつり』を歌唱。歌唱前に簡単な質問をしました。
「ひなまつりは3月何日?」
「何の節句?」
などの質問になります。
歌唱は、4番まで問題なくしっかりと声も出されて唄っていただきました。
ひなまつり行事も兼ねた内容だったので、皆様もしっかりと満足され歌唱後の説明も聞いていただきました。

その後、3月の行事ということから続けて『仰げば尊し』を歌唱しました。
ここでは、プログラムを作成時に『うれしいひなまつり』だけにしようかと考えましたが、昨年も好評だったとのことでスタッフ様からの希望により『仰げば尊し』も取り入れ歌唱しました。
歌唱時には、涙をされる方や、涙ぐむ方が多くいらっしゃり、歌詞の説明を聞き、さらに涙ぐむ方が多くいらっしゃりました。
歌唱されない方は、目を閉じ歌を聴いて居り、歌唱後には説明をしっかりと目を開けて聞いていただきました。

 

 

4.手遊び歌
『どこかで春が』を歌唱。同時に手遊びを実施。
手遊び内容は「胸元にグー、もう片手は前でパー」というものから始まり、そこから更に「手を入れ替える前に手拍子をする」ということを付け加えて実施。

→歌唱し、その後歌詞に沿って質疑応答をしました。「この辺りでヒバリは見ますか?」と言うと「見ますよ!」と答えていただけたり、
「ヒバリの鳴き声はどのようなものですか?」と聞くと急に男性が「ヒヒーン!」と答えていただき笑いが起きたり、「芽の出る音ってどのようなものでしょうか?」と聞くと「パシン!」といった皆様の答えていただけた表現に他の方々が笑われる場面が多くありました。

手遊びに関しては、参加にあたってはほぼ全員参加していただき、しっかりと腕を伸ばしたり手拍子の音が聞こえるくらい叩いていただけたりと、よく出来ていました。
ベッド安静にされている方が、今回は最後列でスタッフ様と一緒に参加いただきました。
そのときベッド安静のため両手を動かすことが難しいこともあり、自らのできる範囲で自分で考え体操をしていただきました。
他にも普段は参加もしないような方が今回はよく参加いただけたのが、スタッフ様としては嬉しいことと仰っていただけました。

 

 

5.合奏
『春よ来い』の曲に合わせて合奏を実施。
模造紙に書かれたリズムに合わせて鳴らしていただく内容にて実施。

→ここでは、初参加の方が5名いらっしゃるということから、基本的な鳴らし方を説明した後、その方々が首を振りながら鳴らしていただけたり手を挙げながら楽器を鳴らしたりとそれぞれの楽しみ方をされていました。
普段から参加いただいてる方も同じく手を挙げられたりと身体の可動領域が以前より上がっているようにも思えました。
中にはしっかりと1番2番と唄いながら合奏される方もいらっしゃり発声もしながら楽器を鳴らす方も見られました。
合奏は今回はコンパクトな内容で3種類の鳴らし方、リズムを実施しましたが、特に問題なく笑顔のまま終わることができました。

 

 

6.懐メロ
先ず回想を深めるために、
「昭和17年」の時代背景の説明する模造紙を見ていただき、その後懐メロの説明・歌唱に入りました。
今回は『南の花嫁さん』『湯島の白梅』の2曲を歌唱。

→今回は戦時中の回想ということから、なるべくの配慮をしながら説明から開始しました。
昭和17年の回想では、「配給制」「ほしがりません勝つまでは」「戦時石けん」と様々なキーワードと共に解説と質疑応答をしました。
「配給制」では、当時切符を持って並んだ、という話や、「ほしがりません勝つまでは」では、同時に「贅沢は敵だ」という言葉、そして「戦時石けん」のキーワードでは「泡立つけどあまり落ちない」とまで一つ一つのキーワードにしっかりと答えて回想していただきました。
そのような中、戦時中を体験されている方多数が答えていただけ、よく普段戦時中の話をスタッフ様にされている方は今回はセラピストの話をよく聞いて頷く姿も確認できました。
その後、当時の曲ということから
『南の花嫁さん』『湯島の白梅』を説明→歌唱しました。
歌唱に至っては非常によく声が出ており、歌唱後には「戦時中にこんな明るい歌があったんですね。」とも声を掛けていただきました。

歌唱後に、「当時の曲は軍歌だけではなく、このような明るい曲や有名歌手が唄われていた曲が非常に多くありました。では、最後に当時「高峰秀子」さんが唄われていた曲をお聴きください。」と音楽を掛けました。
イントロが流れ出すと、皆様が耳をしっかりと傾けしっかりと思い出す素ぶりを見せていただきました。すると、中には「銀座カンカン娘か?」と答えていただきましたが、「違う違う」とまた隣の方が教えていました。
歌が始まると皆様が一斉に「あー!!」と懐かしく声を出され曲を最後まで聴いていただきました。曲の歌詞を頭で思い出して口パクで唄われる方や、しっかりと目を閉じて耳を傾けて聴く方、自分なりの指揮を取って手を動かす方と今回の曲は懐かしむ方が非常に多く見れました。
曲の終了後には拍手をする方がいらっしゃり、隣同士で「懐かしいな!」「まだ小さい時やったわ」と話をしている姿もありました。

 

 

7.クールダウン
『夕焼け小焼け』をピアニカの音に合わせ、目を閉じながら静かに歌唱していただきました。

→初参加された方もいらっしゃった中、終了した後「楽しかったー!」「懐かしいな!」「先生ありがとう!」と沢山の声をいただきました。
車椅子の男性の方が前まで来られ「これ僕が10歳の時に流行ったことで、あのとき隣組運動があって、親と一緒に……」と握手をしながら当時の話もしていただきました。

時間はちょうど15時までの1時間になります。

 

 

[記録・反省]
・今回はひなまつり行事を兼ねての実施の為、普段より人数が多くいらっしゃり、そして初参加の方が5名いらっしゃりました。
終了後に、スタッフ様が感想を聞いていただくと「面白かった」「勉強になった」「懐かしかった」と様々な声があったとのことでした。

・プログラムにても記載させていただきましたが、季節の歌にて、『仰げば尊し』は昨年ど同様、非常に人気のある曲になっていました。
涙される方が多数いらっしゃり、今回ご家族様も来られていた入居者様も涙を出しながら歌を唄われており、ご家族様もその表情に少し感動されて居られました。

・懐メロにて、戦時中の話はなるべく配慮をした結果、良い方向に回想ができていました。
特にこちらの施設様では女性の方が戦時の話が嫌いな方が多いので、「戦時中でも戦争の話をしない」回想をして思い出していただきました。
男性の方は、発言がよく出ておりセラピストだけではなく近くのスタッフ様に話をされたりといらっしゃり、女性の方は、当時の生活についての話をよく答えていただけたのが印象的でした。

 

 

【そして今回は、3年を経過致しましたので、その振り返り、経過を書かせていただきます。】
・1年目
音楽療法を重ねていく度に、様々な発言が出てスタッフ様やご家族様が知らない情報を引き出すことに成功。
毎回曲の情報だけでなく、自身の話をされたり隣同士での会話が増える。

・2年目
音楽療法にて、セラピストのことや音楽療法の内容を覚えていただける。
音楽療法→音楽教室のこと(ここでは音楽教室というイベントで実施の為)と時間の把握→音楽教室の先生が男性の先生と理解→先生の名前を覚える→その先生は毎月一回来ている→懐かしいことを思い出すプログラムがある
という一連の流れを理解していただけました。

他にも「今は春だから、春の曲は何があるだろう?」と自身で思い出したり、
合奏をしていることから他のレクレーションにて楽器を持って参加いただけたり、
「この前は昭和○年を振り返った」ということから自身の当時の話をスタッフ様に一生懸命話す方がいらっしゃったり、
と入居者様にとっては楽しいイベントになっているのと同時に、普段の私生活の中にも思い出すことや考える機会を作ることに成功しました。

・3年目
3年目には懐メロのプログラムに「回想」を取り入れ、さらに深い回想を得ることに成功。
模造紙を使い、当時の出来事・流行・社会とキーワードにてエピソードを乗せて発言していただける機会が増えました。
セラピストの話を集中して聞かれたり、途中で質問や会話、質疑応答を設け、皆様の個々の貴重な発言を教えていただきました。

以上が振り返り、経過になります。
次回から4年目を迎えますが、スタッフ様とどのように方針を向けるか、どのようなプログラムを加えて目標に迎えれるか、
を考えていきたいと思います。