ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第三十五回「プログラムを進化させる」

第三十五回特別養護老人ホームすばるの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム等を報告させていただきます。

 

 

[アセスメント]
全体数は42名になり、うち男性は11名でした。先月より多くの方が来られての実施になります。誘導中は、なるべく多くの方に接し挨拶をしました。
その中でも多くの方が「あっ先生!こんにちは。」としっかりとわかってらっしゃり、そこから見当識も兼ねて日付のことや季節の話も個人個人させていただきました。
他にも「どこかで見たことあるなぁ。」と仰る方には「今日は音楽療法の日ですよ。いつも月に一回来てますよ。」と伝えると「そっかそっか。音楽の先生やね。」と思い出していただきました。
開始時間は14時からになります。

 

 

[プログラム]

1.挨拶
はじまりの挨拶。そして先程のことと敢えて重複し日にち・季節の話をして、なるべく多くの方に見当識をしていただきました。
今回は5月の曲を多く使う為、この時点で5月であることをしっかりと意識していただきました。
模造紙の表紙に「こいのぼり」「かぶと」「新芽」と絵で描き、そのことも少しだけ振り返りました。

 

 

2.準備運動
呼吸法を実施。その後、発声を実施。
今回の発声は、しっかりと口を開けていただくために「こいのぼり」の曲を歌詞を思い出して唄っていただきました。
→発声は、今回はいつもと違う内容をしました。いつもならお腹を使い発声、という内容を口をしっかりと短い時間で動かす、という目的を持ち実施しました。
そこで歌詞の短い「こいのぼり」を曲を掛けながら唄っていただきました。
やはり、この曲は皆様には当たり前の曲となっていた為しっかりと口を動かして歌詞無しでも唄えていました。

ここでは、こいのぼりの曲が「屋根より高い~」という意識を向ける内容も含んでの実施になります。(季節の歌に関連)

 

 

3.季節の歌
『鯉のぼり』(甍の波と~)を歌唱。
そして同時に曲の説明、質疑応答をしました。

→先程の準備運動にて「こいのぼり」を歌唱し、そこから「日本にはもう一つこいのぼりという曲がございます。本日はこちらの鯉のぼりを見ながら唄っていただきます。」と歌詞をめくると、皆様から「あぁー!」という反応がありました。
そして、その反応の中すぐ様曲を掛け唄っていただきました。
非常に反応はよく、曲を掛けると自ら指揮を取ったり、手拍子をとったり、手を挙げて唄われたりと歌唱にも何ら問題はありませんでした。しっかりと声も出ていました。

歌唱後には、少しした質疑応答をしました。
「こいのぼりは最近見なくなりました。屋根より低かったり、小さいこいのぼりが当たり前になっています。では、こいのぼりは5月何日に掲げる行事ですか?」と聞くと、多くの方が手を挙げてしっかりと指伸ばし「5日!」と答えていただきました。
そこから「では、5月5日はこどもの日ですね。5月5日という言葉を含んだ曲がありました。それは、「柱の傷は一昨年の~」という曲でしたが、何という曲でしたか?」と聞くと、皆様が思い出して唄われていた為、急遽「では、皆さんに思い出していただくために一番だけ唄いましょう!」と『背比べ』を歌唱していただきました。歌唱後に、「背比べという曲でした。」と言うと、皆様がまた再び「あぁ!そうやった!」と嬉しそうな表情になっておられました。
次の曲に入るために再び説明をしました。
「次は5月2日の歌を唄うんですが、何の日かご存知でしょうか?」と聞くと、「何の日だろう。」と少し悩まれていて、「5月2日は八十八夜と呼ばれる日になります。」と説明をすると、「夏も近づく八十八夜~」と早速曲の歌唱をされる方が多くいらっしゃいました。そして、次のプログラムに向かいました。

 

 

4.手遊び歌
『茶摘み』を歌唱、そして同時に手遊びをしました。
→先ずは曲の説明から始めました。
歌詞をめくり、八十八夜の説明、少しした季節の話をし、歌唱しました。
歌唱はやはり人気の曲のため、特に問題なく皆様が笑顔で唄われていました。
そして、歌唱後には再び説明と質疑応答を。
「あかねだすきとはどのような物ですか?」と聞くと、前列の女性が身振り手振りで「こういうやつで、後ろで紐をくくって赤色のたすきのことです。」と教えていただきました。その後、「菅の笠とはどのような物ですか?」ときくと、次は違う男性が「こういう形の笠、帽子のこと。」と身振り手振りで答えていただきました。
次に、手遊びに入りました。
手遊びの内容は、
①手拍子→足(に手を置く)→親指+人差し指→パー
②手拍子→足→片手が親指+人差し指、もう片手がパー→入れ替え
という内容になります。
スタッフ様も皆様と一緒に横で参加していただきました。
①はしっかりと参加もできておられましたが、②になると、急に難しくなりスタッフ様含めできない方が多くいらっしゃり、手を出したまま笑われていました。
これは、「できない方がいらっしゃれば横で一緒に笑ってください。」ということを事前にスタッフ様に伝えており、できなければ一緒に笑っていただくものになっていました。
そのため、できない方が多くいらっしゃり、同時にスタッフ様と笑われて居られる姿が非常に印象でした。
中には手遊びが終わってから笑いながら「できひんわー。」と言われる方や、指を出しどうしたら指が入れ替え易いかと考えてる方もいらっしゃいました。

 

 

5.合奏
『浦島太郎』の曲に合わせ、合奏を実施しました。今回のリズムは全て三三七拍子に統一させて5番まで実施しました。
(途中左右の手を入れ替えることも実施。)

→一度、三三七拍子を練習すると、前列中列としっかりと止めることができていましたが、後ろの方からまだ止まらず楽器を鳴らす方がいらっしゃり、静まり返ってる中にその音がして、セラピストがコケる振りをすると皆様が笑われていました。
もう一度三三七拍子を練習すると、次は綺麗に音が揃い、本番に挑みました。
その音楽を鳴らす時に、多くの方が集中され、椅子を座り直したり、楽器を構えている姿も確認できました。
本番では、綺麗に音が揃い、途中左右の手を入れ替えることも伝えるとほとんどの方がタイミングをとり入れ替えていただけました。
5番の最後はピタッと音が止まり、統一感が出ました。
その音が止まった瞬間に最前列の男性が、「成功ー!ばんざーい!」と手を挙げて楽しまれていました。その姿を見て隣の女性が笑われたり場は統一感が出た緊張から一気に和みました。
他にも、楽器がまだ鳴らしたりない方もいらっしゃったため、童話を元に作られた曲の関連として「桃太郎」の曲も実施しました。
これは、カラオケ音源になり、皆様が空で歌詞を思い出しながら唄われる姿が多く見れました。4番から急に皆様が「ららら~」と歌詞がわからなくなり、らららの声と楽器だけが響いていました。その様子が6番まで続き、最後の方には自分がわからないことに可笑しくなり、ずっと笑われる方や鳴らし方を盆踊りのように手を挙げながら鳴らしたりと自由な合奏になっており非常に楽しまれてました。
もちろん音が止まるところはしっかりと止められたり、考えながら拍子に沿って音を鳴らすことができた為、少ししたセッションのような合奏になり結果的に綺麗なおもしろい合奏となりました。

この合奏を機に、ほとんどの方が口数が増えたり、いい意味で興奮されて次の懐メロプログラムにも効果的になりました。

 

 

6.懐メロ
先ずは、昭和10年という時代を振り返る回想表を用意し、それに沿って皆様に当時の出来事・社会・流行と振り返っていただきました。
その後、昭和10年の『二人は若い』を歌唱。
そして更に今回は関連して「ディック・ミネ」について振り返る専用の模造紙を用意。
ディック・ミネさんについて振り返った後、『人生の並木路』を歌唱。さらに『夜霧のブルース』を聴いていただく、という流れで懐メロプログラムを実施。


先ずはじめに、「昭和10年」の回想からは、
・「もんぺ」
・象の「花子」
・「ポパイ」
・「野崎小唄」
がとても反応が良く、回想していただけました。
「「もんぺ」はどのようなズボンですか?」という質問に対して「裾にゴムが入っていて、これは昔畑仕事するときに便利だったんですよ。」と女性が答えていただき、次に、
「上野動物園にやってきた象の名前を知ってますか?」という問いには、
「花子やね。この象は戦時中までいてて可哀想なんですよ。」と先ほどとは違う方が答えていただきました。
また、「外国の漫画でポパイというものがありましたが、このポパイは何かを食べると強くなります。一体何でしょうか?」という問いをすると、後列の女性が「ほうれんそう!」と手を挙げて答えていただきました。
このポパイの質問は、割と年齢が若い方に答えていただけるようにするための計算で、まさに若い方に答えていただけました。
中には、「ジュース!」「ミックスジュース!」「バナナ!」という間違った答えも多く出ておりましたが、逆にその答えが可笑しくて笑われる方も多くいらっしゃりました。
最後に「野崎小唄はどのような歌でしたか?」と聞くと、「野崎参り~」と所々で唄っていただき、中には「東海林太郎の曲!」と中列の方が手を挙げて答えてもいただきました。
回想表の最後には、流行語「あなた。???。」という言葉を書き、イントネーションをつけて読むと皆様が一斉に「なぁんだい。」と答えていただきました。
そこで曲として『二人は若い』の歌唱に入りました。
人気曲であるため、自ら手拍子を取られ3番まで歌唱が非常に盛り上がりました。
最後には拍手が起こり、前列の女性が隣の方に「懐かしいな。よくラジオで聴いてたわ。」と話しかけられ、話しかけられた方も「うちの女中さんと一緒によく唄ったわ」という返答もありました。
歌唱後には、少しディック・ミネさんについて話をし、さらに次は模造紙を使い「ディック・ミネ」さんについての半生を書きました。
その説明では、徳島県出身のこと、淡谷のり子さんと出会い歌手として道を歩むこと、生涯稼いだお金の話、などを説明し、皆様が非常に集中されてセラピストの話を聞かれていました。
唄われた曲を紹介するときに、
・ダイナ・二人は若い・昭和12年「???」・旅姿三人男と一つ一つに反応され、
昭和12年の曲を皆様に説明しながら、歌詞を見ていただきました。曲は『人生の並木路』になります。
この模造紙をめくった時に最前列の女性が非常に喜ばれて手を叩かれていました。
歌唱に入り、皆様が本日で1番の声量で唄われており非常に歌唱しながらも回想されておられました。
歌唱前に手を叩かれて喜んでいた女性は、途中から涙が出て嬉しそうな表情をされていました。
ディック・ミネさんについての模造紙に再び戻り、最後に昭和22年「???」と書いた内容について説明しました。説明をした後に、当時の本人曲をレコード音質で聴いていただきました。
曲を流すと皆様が耳を傾け集中され、歌が始まると空で歌詞を思い出しながら唄われる方も多くいらっしゃりました。
曲が終わり、「この曲は、昭和22年の『夜霧のブルース』です。」と説明をすると「そうやった!そうやった!」と皆様が反応され、中には先ほど人生の並木路にて泣かれていた方が再び目を潤して居られる姿も印象的でした。
ディック・ミネについての話は終わり、最後に「ディック・ミネさんの顔も思い出してください。」と伝えると、隣同士の会話が非常に多く聞こえました。中にはスタッフ様に「顔が大きかった」と教える方もいらっしゃれば、セラピストに「男前やった!男らしい顔立ちだった!」と教える方も、そして中には「そんなに男前じゃなかったかな?」という意見もあり、その話にも再び笑いが起きました。
その話を機に、クールダウンに入りました。

 

 

7.クールダウン
『夕焼け小焼け』を静かに歌唱。
クールダウンをとり、そのまま終了。
夕焼け小焼けの後にはクラシック音楽を取り入れ、静かな音楽に乗せながらプログラムは終了しました。

時間はちょうど1時間になります。

 

 

 

[記録・反省]

・今回は、いままでの一定のプログラムに変化を加えました。
発声・季節の歌・合奏・より深く思い出すための懐メロ
とそれぞれに、変化を加えた内容にし、良かったところ、悪かったところとありました。
悪かったところというと、やはり時間が1時間になるので、足りなかったという印象でした。
今回は施設様のご厚意もあり時間は伸びても大丈夫と言っていただけましたが、なるべく時間内に収めるように試みました。
まだまだ削る部分や、時間を使う部分と今回のプログラムで改めてわかりました。

・上記の中で、懐メロが今回は1番の成功でした。いつもの内容に加え、「歌手の説明・歌手の半生」という模造紙を一枚加えるだけで、皆様が反応されたり、回想されたり、思い出すための手助けとなりました。
今回はディック・ミネさんについてでしたが、終了後には「東海林太郎さんとかデコちゃんとかも教えてください。」と言っていただける方が個人的に寄ってきていただけました。
そのため、近いうちに違う方の半生や説明もプログラムの一つとして取り入れたいと思います。

・さらに上々記の内容でいうと、
合奏から非常に覚醒していた方が多かった印象でした。普段より懐メロの質問に答えていただけたり、普段よりリアクションが良かったり、と「静・動」の「動」が非常に感じ取れました。 これにはスタッフ様もびっくりされており、終了後にも「あぁ楽しかった!」という声がいつもより多くありました。

・懐メロ時に泣かれていた方に終了後に声を掛けました。「懐かしかったですか?」と聞くと、「実は昔兄がディックミネが好きで、それでよく一緒に「ダイナ~♪」って唄わされててそのことが本当に懐かしくて思い出してね。」と笑顔で教えていただき、「また先生来てくださいね。本当に先生の講義は面白いし懐かしい!」と握手をしながら笑顔で言っていただきました。
非常に回想がピンポイントでできていた様子で成功でした。