ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第十五回「更なる挑戦」

第十五回特別養護老人ホームでの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム・記録等ご報告させていただきます。

 

[アセスメント]
人数は49名になります。全体で50名になりますが、1名は体調不良のため、今回の参加は見送っていただきました。
誘導時にアセスメントをすると、前回と同様、お化粧をされて来られる方や、わざわざメガネを持って参加いただける方と多くいらっしゃいました。
前で確認をすると、やはり“音楽療法の日”ということが覚えていただけて、セラピストが先生ということの一致はほぼ全員できていました。
話を聞かせていただくと、「今月は少し遅いんやね」と言っていただける方もいらっしゃいました。(今月はゴールデンウィークもあった為、普段より2週遅れての実施になります。)

時間は、14時ちょうどのスタートになります。

 

[プログラム]

1.あいさつ
はじまりの挨拶を実施。
しっかりと前列後列と挨拶の声が出ていたことが確認できました。

 

2.準備運動
・呼吸法
『ジムノペディ』をBGMとして呼吸を整えていただきました。
前回は風車の使用にて呼吸を整えていただきましたが、今回は普段実施の通りの呼吸法にて整えていただきました。
次回は、”紙風船”を使用して呼吸法を考えています。

・発声法
今回は「ゲゲゲの鬼太郎」の「おい!鬼太郎!」をお腹を意識して発声しました。
発声法として紹介させていただくときに、ほとんどの方が、この発声法を覚えていただいた様子で、「あっ、鬼太郎や!」と答えていただけました。
しっかりと声も出ており、発声はできていました。
そして、発声法としてこの言葉を覚えていただけてたことに少し驚きもありました。

 

3.季節の歌
五月の実施になるので、『鯉のぼり』と『背比べ』を歌唱。曲の説明や質疑応答も実施。

→『鯉のぼり』を歌唱後に、「今年は鯉のぼりを見ましたか?」という質問をすると、「ここの窓から鯉のぼりが見えますよ。」と指をさして言っていただけたり、「最近は、大きい鯉のぼりも見ないですね。」と言っていただけたりと質疑応答には、しっかりと答えていただけました。
『背比べ』の歌唱後には、「うちには、まだ柱に傷があります。」と入居されてるクライアント様が教えていただけました。

この時点で、今回も質疑応答には、前列後列と答えていただけだ方が多くいらっしゃいました。

 

4.手遊び歌
『金太郎』を歌唱し、同時に手遊びを実施。
ここでは、スタッフ様と寝たきりの方が手を握りながらどういった意思表示をしていただけるかを、重点的に見ました。

→手遊びの内容は、「グーチョキパー→手拍子」を先ずは実施しました。
手遊びでの手の出し方は、ほとんどの方がしっかりと指を伸ばしていただき、同時に歌唱も問題ありませんでした。
そして、次に手遊びの内容を、「手拍子→手拍子→グー→パー」と変更しました。ここでも、唄いながらの手遊びは、ほとんどの方が問題なく参加いただけました。
中には、「あっ、違う!」と言葉を漏らして手遊びを間違えても自ら修正し、参加いただけました。

寝たきりの方とスタッフ様との様子を確認すると、手拍子のときに少しながら手からの意思表示は伝わっている様子が確認できました。
また、手の甲を少し摩りながら手遊びをしていただくこともスタッフの方々にしていただきました。

 

5.合奏
『茶摘』を楽器にて合奏を実施。
模造紙を見ながら合奏をし、リズムやタイミングは綺麗に揃っていました。
そして、今回は初の試みとして、グループ分けを実施しました。

→合奏でのリズムは全員が綺麗に止めて、前回含め、かなりレベルの高い合奏にはなりました。その為、今回は合奏にてグループ分けを実施しました。
グループは、セラピストから見て右側左側とグループを分け、「(グループ)交互に鳴らすこと」や、「(2つのグループ)同時に鳴らす」、といったことを試みました。
合奏方法の説明をして合奏をすると、交互に鳴らすときに、間違って違うグループの方が鳴らされたり、といったことはありましたが、途中でスタッフの方と連携をして、最後まで合奏を実施しました。
最後は綺麗に交互に鳴らすことができていました。途中で、周りの方の様子を見て「グループ意識」をしっかりと集中して持ちながら参加される姿が確認できました。
次回もこのグループ分けの合奏を試みます。

合奏後には、少し身体を伸ばしていただきました。

 

6.懐メロ
『啼くな小鳩よ』『花言葉の唄』の2曲を歌唱。そして『花言葉の唄』の昭和11年に関連し、昭和11年の『あゝそれなのに』の本人歌唱曲を聴いていただきました。

→先ずは、どちらも歌唱前に曲の説明をしました。
中には、「岡晴夫の歌ですね!」と答えていただける方もいらっしゃいました。
『啼くな小鳩よ』では、「岡晴夫さんの歌ですね」と紹介させていただくと、「ハワイ航路の曲もありますね!」と後列から答えていただける方もいらっしゃいました。
『花言葉の唄』では、事前に入念な曲の説明をさせていただき、「あっ、この曲か!」と思い出していただけたところで歌唱に入りました。
そして昭和11年の時代背景を説明し、本人歌唱曲『あゝそれなのに』を聴いていただきました。
かなり回想の思い出しができていた様子で、曲を聴きながら口ずさむ方が前列後列とほとんど見え、2番3番とずっと歌詞無しで目を閉じながら唄っていただける姿が確認できました。
寝たきりの方の様子も、喉が動いてる様子も前から確認でき、スタッフの方々が声を一生懸命聴いていただいてました。

 

7.体操
『白鳥』をBGMとして、簡単な体操を短く実施。
→クールダウンへ誘導のために、静かに簡単な体操を実施しました。静かになり落ち着いた様子になったところで、深呼吸をして体操を終了しました。

 

8.クールダウン
『夕焼け小焼け』をピアニカの音にて歌唱。
クールダウンをしっかりと取り、静かに終了しました。

終了時間は、15時ちょうどになります。

 

[記録・反省]

・今回は前回から一ヶ月以上期間があった為、参加される方や、楽しみにされる方が多くいらっしゃいました。ショートステイの方も楽しみにされている方が多くいらっしゃる、とのことでした。
そして前回と同様、今回もお化粧をされる女性や髪をとかれて来られる方も多くいらっしゃいました。
QOLの向上という面では、高くなっているかと思われます。

・手遊び歌では、前回確認できた寝たきりの方の「指先からの意思表示」を今回も重視しました。事前打ち合わせでスタッフ様との連携により、手を握っていただき意思表示を汲み取っていただけるようにしました。
手拍子のときには、やはり力が入っている様子が前から見ていても伝わりました。
その意思表示が確認できたので、手遊びを急遽本来の時間より長く実施しました。

・合奏では、初の試みとしての「グループ分け」を、実施しました。
上記に書かせていただいた通り、普通の合奏ではかなりレベルが高くなって複雑なリズムもすぐに覚えていただけるので(前回、前々回)、グループに分け、集中して鳴らすように目標としました。
まだまだセラピストとしても、説明不足や、スタッフ様との連携とがしっかりできていなかったので、反省点や改善点は多くありました。
次回もグループ分けでの合奏に挑戦してみたいと思います。

・回想は今回はかなり刺激があった様子で、本人歌唱曲では、2番3番と思い出して唄われる姿がかなり確認できました。
今までの本人歌唱曲より今回は刺激があったと思えました。その理由も、入念な時代背景の説明等があるかと思えます。
次回も本人歌唱曲への誘導時には、配慮をして時間を取るべきかと思います。

・今回参加いただけた方の中に、もともとベッドでの誘導予定の方がいらっしゃったのですが、その方が「車椅子にしてほしい」と本人希望にて車椅子に変更しました。(誘導時のことです。)
そして、セッション中その方の様子をセラピストもスタッフ様方も見させていただいたのですが、手遊びをしっかり出されたり、歌唱もしっかりと本人なりの声を出していただいたり、合奏では介助なく鳴らしていただけたり、とスタッフ様もセラピストも最後まで驚かせていただきました。
スタッフ様と終了後に話を聞かせていただくと、日常の中では珍しい行為とのことで、音楽療法の日だけなのか、ということも少し疑問になりましたが、今回は介助なく自らできていたことは間違いなく確認できました。

 

【学院長より】

お疲れ様でした。
どんどん安定感の有る療法が出来てますね。
音楽療法は、QOLもADLも向上し、高齢者の状況も変えて行くことが実証されたでしょう?
認知症が治るのですからね。

後一つ、スタッフが何人か居られるのが見えますが、いつもの課題、寝たきりの方々に体操だけでも援助してもらえたらね。
特に寝たきりで動かない体を少し音楽の流れに沿ってゴロゴロ動かして貰うだけでも違いますよね。
動かして良いところ悪いところはスタッフが分かっておられるので。

今日、井上さんから、しっかり音楽療法をされてるとお誉めの言葉が有りましたよ。