ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第二十二回「中人数式プログラム」

第二十二回特別養護老人ホームでの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム・記録等ご報告させていただきます。

 

[アセスメント]

今回は施設内、インフルエンザ患者様が出た為、普段なら2階3階と合同で実施ですが、2階の入居者、ショートステイの方のみになります。
その為、人数が全体で24名(2階の方全員)になります。
そのうち、今年からターミナルケアをされる方が3名(うち1名はベッド、うち2名はリクライニング式車椅子)、そしてリクライニング式の車椅子の方は4名になります。

階が違えば特に体調不良とされる方はいらっしゃらず、ほぼ全員が元気な様子でした。
ここでは、3階がどちらかというと重度の方、2階が元気な方とお話を聞いてます。

挨拶をするとほぼ全員がしっかりとセラピストのことを覚えていました。

はじまりは14時からになります。

 

[プログラム]

1.挨拶
→はじまりの挨拶、そして新年初めてということもあり新年の挨拶も実施しました。
そこで、「今年の干支は?」と聞くとほとんどの方が「戌年!」と答えていただき、
その他にも少しした質問を実施し、
ここでどれくらいの方が発言していただけるか、ということも判断させていただきました。

 

 

2.準備運動
呼吸法と発声法を実施。
発声法は、今回は元気な方が多いとお聞きしていたので少しお腹を意識して全員が声を出せるような内容を実施しました。

→発声法では、今回「わっしょい!わっしょい!」を手を挙げながら声を出し、同時に手の可動領域も1人ずつ確認しました。
リクライニング式の車椅子の方には、スタッフ1人ずつの補助を付けていただいてたので、手を握って実施していただけました。
その他の方は、セラピストが確認をして両手が上に伸ばせることができているかを前で確認して発声をしました。
全体的に可動領域も無理のない方が多かったので、続いて口元に手を当てて「ヤッホー!」と声を出していただきました。
ここで気をつけたことは、お腹からしっかりと声を出していただく為に、「ヤッホー」の声をなるべくずっと伸ばしてフロア中に響くように声を出していただきました。
すると顔を真っ赤になりながらしっかりと声を出していただけた方、途中で可笑しくなって笑う方、口を大きく開ける方、と多くの表情が見ることができました。

 

 

3.季節の歌
『一月一日』を歌唱。その後、曲に関する説明や質疑応答を実施。
今回は説明時に、模造紙を一枚使い、「戦前の日本の祝日」・「戦前の日本の祝日の小学生の過ごし方」という事を説明しました。

→歌唱は特に問題もなく、先程の発声と同じように声がしっかりと出ていました。
その後、「今年は平成何年ですか?」と質疑応答を実施しました。今回は、質疑応答がしっかりとできる方が非常に多い印象だったので、様々な方に質疑応答をしました。

そして、模造紙を使い、「戦前の日本の祝日」「戦前の日本の小学生の過ごし方」ということを説明しました。
途中途中、虫喰い式にしている為、ここでも多くの方に質疑応答をしました。
「四大節」「天長節」「御真影」「教育勅語」といった言葉を聞くだけで手を叩いて思い出していただける方も多くいらっしゃいました。
終了後にスタッフ様にお話を聞くと、
「ほとんどの方が見る為に前のめりになって前をじっと見ていました。そして利用者同士でコミュニケーションも取っていただけてました。」との事でした。

 

 

4.手遊び歌
『ふじの山』を歌唱。同時に手遊びを実施。
手遊びは、
(1)パー→グー→チョキ→手拍子
(2)グー→チョキとパー→パーとチョキ→手拍子
という内容を実施しました。

→先ず、はじめに歌唱をしたときに前列の女性が曲の歌詞に合わせた動きをしながら歌唱していただけました。(「雪の着物着て」→着物を着る動作・「富士は日本の一の山」→手を上に挙げて高く指を上に刺す動作)
そして手遊びは、(1)の時点で少し難しい様子でしたが必死になって指を見ながら実施していただけました。途中で可笑しくなって笑う方や歌詞を間違う方やそれにつられて間違う方と非常に笑顔が多く見られました。

肝心の指の動きは特に強張って出せないという事はなく、間違いながらも唄いながら手遊びするといった2つの動作はできていました。
寝たきりの方にはスタッフ様が手を握って一緒に実施をしていただけました。

 

 

5.合奏
『雪』の曲に合わせ、合奏を実施。
合奏内容は模造紙に書き、その通りに鳴らしていただきました。

→今回は寝たきりの方にはなるべくスズを持っていただき、手でしっかりと握っていただきました。その他の方々は鳴子を使用しました。
合奏はキレイに音が揃っており、一人一人しっかりと音を感じ取ることができました。

キレイに音が揃った合奏になったので、曲の後に三本締めを両手交互に実施しました。

こちらも終了後にスタッフ様にお話を聞くと、
「寝たきりの方が全員自ら小さい音で鳴らすことができていました。普段服の袖入れが手が強張って難しい方でも楽器なら大丈夫でこれは驚きました。」とのことでした。

 

 

6.懐メロ
『山小舎の灯』と『銀座カンカン娘』を歌唱。
その後、回想を深める為、本人歌唱曲を一曲聴いていただきました。

→先ず、歌唱前に曲の説明を実施。
「この曲(山小舎の灯)は近江俊郎さんが唄われて…」と説明をすると、多くの方が「そうそう!」「そうやったなー!」「あぁー!」と反応が多々ありました。
その後歌唱し、2曲目も同じく、説明から入り歌唱しました。
銀座カンカン娘では、
「いやー!うれしいわー!」という声が前列の女性から聞こえ、こちらも曲の説明時に「この曲は高峰…?」と質問すると、ほとんどの方が「秀子!」「デコちゃん!」と答えていただけました。
歌唱時は盛り上がりが非常にあった為、ほとんどの方が手拍子を取りながら歌唱しました。

その後、昭和24年という年代を言葉にて説明をし、「この時代に12歳のある女の子が出てきました。では、その子の歌声を聴いてください。」と本人歌唱曲で『悲しき口笛』(美空ひばり)を聴いていただきました。
曲のイントロが流れるだけで、前列の方同士がひそひそ声で「ひばりの曲やね?」「何て名前の曲やった?」とコミュニケーションをとり、歌声を聴くと、ほとんどの方が歌詞なしで思い出し歌唱をし、中には泣かれる男性の姿も確認できました。
本人歌唱曲が流れ終えた後には、多くの方から拍手も聞こえました。

そしてその後のクールダウンへ入る為、徐々に静かにプログラムを進めました。

 

 

7.体操
『白鳥』をBGMとし、簡単な体操を実施。
クールダウンの誘発にしました。

→特に、はじめと変わらず、手や足の運動可動領域も変化なしで痛めているといった様子もありませんでした。

 

 

8.クールダウン
『夕焼け小焼け』をピアニカの音に合わせて歌唱をし、クールダウンを取りました。
歌唱後は静かに終え、挨拶にて終了しました。

そして、帰り際には1人ずつ握手をして言葉を掛けさせていただきました。

時間は、15時ちょうどの終了になります。

 

 

[記録・反省点]

・今回は事前に施設内のインフルエンザ患者が出たということがわかっていた為、
普段の特養プログラムより、少し特養の中でも元気な方に合わせたプログラムになりました。
質疑応答がしっかりとできる方が多かった為、各プログラム毎に、前列後列と様々な方に答えていただきました。
コミュニケーションがしっかりと取れ、終盤では多くの方が発言していただけるようになりました。
笑われる表情や、集中して話を聞く姿、そして回想して隣の方に話をされる方と1時間の中で多くの姿が見れました。

・合奏では寝たきりの方にはスズを持っていただき、そのスズは非常に効果的でした。
プログラム欄にも記載をしましたが、
普段、服の袖の出し入れが、手が強張って難しい方でも、スズならしっかりと持ちスズが揺れる事がしっかりと確認できた、ということもあった為、手首をしっかりと動かしてリハビリも兼ねた合奏になるようにこれから合奏を考えたいと思います。
もちろんしっかりとリズムも取れるように合奏内容を考えたいと思います。

・回想では、
銀座カンカン娘の時に、多くの女性が喜んでいただき、歌唱に合わせて身体を動かしていただける方もいらっしゃいました。
昭和24年の事を話するときも多くの方が反応をしていただきましたが、今回わかったことで、
なるべく時代の振り返りをするときに、模造紙にて時代の出来事を書いて回想の手立てをした方が良いと思えました。
話をするときに今回は人数が中人数だったのでよかったのですが、これから普段のように大人数のセッションとなった時に、なかなか言葉だけでは難しいと思えます。
それなら、模造紙に昭和○年の出来事・流行等を書いて視覚的に分かりやすいように回想の手立てができればと思い、次回実施したいと思います。
その他にも、回想の手段としてイントロクイズなども考えています。

 

 

【学院長より】

よく反省が出来ています。

こんなお元気な方々の時は少ないので、急遽、歌唱療法のプログラムに変えて行うと、いつものマンネリから一変して、心や脳の元気が高まり、効果が期待できますよ。

前日でも歌唱療法のプログラムは出来ますから、前日アセスメントでも良いので、施設からの連絡は貰えるようにお願いした方がよいですね。