ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第二十五回「笑うことと回想すること」

第二十五回特別養護老人ホームの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム・記録等をご報告させていただきます。

 

[アセスメント]
本日は人数が40名になります。
以前と同じで、音楽療法の定着はしっかりとしている為、フロアに着くと既に前の席に座っていただいてる方が多数いらっしゃいました。
到着し、挨拶をすると「わー!待ってましたよー!」や「この前は参加できなかったけど今日はできてよかった!」などの声をいただき、前列の方には体調や季節の話等をしてコミュニケーションを取りました。
その後、後列にはリクライニング式車椅子の方や寝たきりの方と続々と来られてなるべく1人ずつの様子や身体の動かし具合と見させていただきました。

開始は14時ちょうどになります。

 

[プログラム]

1.挨拶
→表紙には「音楽療法 5月」と書いており、その横にこいのぼり等の絵を描いていました。
挨拶時に、その表紙を見ながら「本日は5月の曲を唄いましょう!」と説明をすると、
中列の方が「こいのぼりですかー?」と声を掛けていただき、そこはこちらも「まだ唄っていただく前に準備運動をして、しっかりと体を整えてから5月の曲を唄いますよ!」と対応をしました。

 

2.準備運動
呼吸法と発声法を実施。
発声法では、お腹を意識して「ヤッホー!」と声を出していただきました。

→先ほどの挨拶時の流れで、「準備運動を」と言ったときに、呼吸法のBGMを流しました。すると、多くの方が背筋を伸ばし、いつも実施している呼吸法の流れを理解していただいており、その流れのまま呼吸法を実施しました。
そして、その後の発声法では、一度見本をすると、同じように真似をしていただきました。
そのときに、「このヤッホーの声はやまびこを呼ぶ時の声ですよね。(場所的に山が数キロ先にある為)○○山がここからちょうど見えますね。皆さん、やまびこをしっかりと呼んでくださいね!では、いきましょう!せーの!」とあらかじめに説明をして実施し、声を出していただきました。しっかりと声を出していただきましたが、ある男性が「そんなんじゃやまびこはまだまだ聞こえないね。」と笑いながら教えていただき、その後もう一度同じく発声をしていただきました。その後は、皆さんが笑っていただき、その流れで次は、季節の歌に入りました。

 

3.季節の歌
『こいのぼり』『背くらべ』を歌唱。歌唱前にも曲の説明等をしました。
その後、こいのぼりに関する話や5月5日に関する話と再び実施しました。

→事前に「五月はどんな行事がありますか?」と聞くと、「こどもの日」や「こいのぼり」と教えていただける方が多くいらっしゃいました。それを踏まえ、歌詞をめくり曲の説明、歌唱をしました。
歌唱後には再び、簡単な質疑応答を設け、
「こいのぼりは見えましたか?」「最近のこいのぼりは屋根より低いですか?」と聞き、笑いながらも答えていただき、その後「五月五日に関する曲はこいのぼり以外にもあります。」と次の『背くらべ』を出しました。
そして、同じく少しだけ説明し、歌唱。
歌唱後には、再び質疑応答をし、「ちまきはどのような形ですか?」と聞くと、ほとんどの方が身振り手振りを踏まえて「こんなん!」と教えていただき皆さんに笑っていただきました。
その後、「5月の曲はこれだけではありません。この曲も5月の曲です。」と歌詞をめくり手遊び歌に入りました。

 

4.手遊び歌
『茶摘み』を歌唱し、その後同時に手遊びを実施。手遊びの内容は「足(を触る)→指で1→足→2→足→3→足→4」の繰り返しになります。

→歌唱に関してはやはり人気の曲のため、自ら手拍子しながら唄われていたり、途中「トントン」と口で唄われる方と多くいらっしゃいました。
歌唱後には、少し質疑応答もしました。
「あかねだすきとはどんなものでしょうか?」と聞くと、ほとんどの方が身振り手振りでタスキを掛ける仕草をされ、その流れで、「菅の笠は?」と聞くと、同じく身振り手振りで三角の笠をジェスチャーしていただきました。
そのときに、「今日は、チマキに始まり、皆さんに非常に分かりやすい説明をしていただけてます。こんなん。とか、あんなん。とか皆さんの説明はわかりやすいですね~。」と笑って話すと、皆さんも同じくお腹を押さえながらずっと笑っていただきました。

その後の手遊びでは、説明をしっかりと聞いていただき、指もしっかりと出していただきました。後列や中列の方々には、なるべくスタッフ様に付いていただき、指を握っていただくように事前に説明をしました。
指で1を出すときは一本握り、2を出すときは二本指を握り、としていただきました。
するとその行動で起きる方や、スタッフ様の顔を見られる方といらっしゃり、隣で一緒に唄ってもいただきました。
終了後に聞いた話で、反応としては、「小さいながら指を出したり握ったりとしていただけた。」とのことでした。

 

5.合奏
『みかんの花咲く丘』を前の模造紙を見ながら合奏していただきました。

→曲をめくると「あー!(拍手)」と言われる方が多くいらっしゃいました。
先に、合奏のリズムを説明、そして今回の合奏はしっかりと手首を使うように説明し、一度練習をしました。
少し難しいような合奏をしたのですが、皆様には理解していただき、本番でもリズム通りに鳴らすことができていました。
しっかりと両手を使い、しっかりと楽器を振る様子がよく確認できました。

 

6.懐メロ
『南の花嫁さん』と『啼くな小鳩よ』を歌唱。
そして、『啼くな小鳩よ』の前には、昭和22年の時代説明を模造紙にて実施。当時の出来事、流行、流行歌と説明をしました。

→先ず『南の花嫁さん』を見せると、「誰の曲やったかな?」と前列の方々が隣同士相談されている姿が見えました。
年代、歌手と説明をすると、「あー!そうか!あの湖畔の宿も唄ってたよ!」と情報も教えていただけました。
そして歌唱後には再び少し説明をし、次に入りました。
次は、昭和22年の時代説明を模造紙にて実施。
当時の出来事、流行、流行歌と説明し同時に質疑応答もしました。
昭和22年に学校給食が全国区で実施され、そのときに「脱脂粉乳は飲まれた方いらっしゃいますか?」と聞くと、前列の方々が多く手を挙げられました。そして「脱脂粉乳の味はどうでしたか?」と聞くと、前列の方は「まずかった!」と答えていただき、中列の方々は手を挙げバツにする方が多く見られました。その他にも「鐘の鳴る丘」や「古橋広之進、フジヤマのトビウオ」といったことを思い出し、回想し、そして多くの方に答えていただきました。
当時の流行歌を説明し、その中に「『??』岡晴夫」と書いているのを説明すると、ほとんどの方が「晴れた空やろ?」「憧れのハワイ航路や!」と答えました。ですが、「その曲ではないんですよ!皆さん岡晴夫さんは他にどのような曲を唄っていたか思い出してください!」と説明し、次の模造紙をめくりました。すると、「あー!啼くな小鳩よか!」と言う声もあり、多くの方が「あー!」と声を出されました。
そして啼くな小鳩よを歌唱し、曲の終わりには拍手が非常に多く起こりました。
歌唱後には、再び昭和22年の模造紙に戻り、流行歌の最後に「『??』菊池章子」と書いており、それを先ほどと同じく聞くと、「何の曲やろ?」と考えていただき、その曲の本人曲(星の流れに)を聴いていただきました。
すると、イントロの時点で中には答えていただける方もいらっしゃり、歌が入ると、多くの方が口ずさみながら唄っていただけました。
曲の最後には泣かれる方がいらっしゃったり、非常に笑顔を見せて拍手していただける方、隣同士話をされる方と多数見受けられました。
後列の寝たきりの方の中には、目を開ける方がいらっしゃったり、涙される方が見れたりと、全体的に非常に効果的な回想ができました。

 

7.クールダウン
『夕焼け小焼け』をピアニカの音に合わせ歌唱。歌唱前には少し身体を伸ばし、深呼吸も実施。クールダウンをしっかりととり終了しました。

終了時間は、15時ちょうどになります。

 

[記録・反省]

・今回は前半部分では、身振り手振りの説明をしていただける姿が多く、それが笑いのツボに入り大きく口を開けて笑っていただける姿がよく確認できました。
笑いながら涙を出される方や、お腹を押さえながらずっと笑っていただける方など多くの方が見れました。

・後半では、やはり懐メロの二曲と昭和22年の回想が効果的でした。
懐メロの欄にも書かせていただいた通り、
歌手の名前を出すだけで、他にもどのような曲を唄っていたか、を思い出されたり、
昭和22年の時代説明で、キーワードや名前を出すだけで、様々なところから答えていただける方、と情報を引き出すことに成功しました。
脱脂粉乳の話をするだけで、ある方は終了後にわざわざ前に来ていただき、脱脂粉乳の飲み方やそのとき先生に怒られながら立たされて飲まされた、泣きながら飲まされた、といった話も思い出して回想していただけました。
他の方も終了後、前に来られて、握手をしながら「先生、鐘の鳴る丘の主題歌はとんがり帽子ですよね?」と聞かれたり、「私、昔お茶摘みをしたことがあります。」と教えていただけたり、「星の流れには、いい曲ですよね!あれは私が○才のときにラジオでよく流れてて唄うだけで親に怒られましたよ!」といったことも引き出すことができました。
非常に効果的な回想、懐メロになりました。

・今回は少し懐メロが時間的に長くなることを予想していたため、合奏を少しだけ短めになってしまいました。おそらく終了後に反省したことは、早口になってしまっていたのではないのか?と思います。
合奏を短めにしただけではなく、早口になってしまっていては、せっかくのプログラムが崩れてしまうので、そこは毎回ですが注意することになります。

・ここ最近では、
普段大声を出される方が、あまり出されることが無くなり、スタッフ様曰く、「安心して参加の様子を確認できます。」とのことでした。
そういった変化というのは、今年に入ってから様々見れています、とのスタッフ様からの報告がありました。