ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第二十六回「笑う音楽療法」

第二十六回特別養護老人ホームでの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム・記録等を報告させていただきます。

 

[アセスメント]
今回は人数がいつもより少なくなります。
5月後半から入院される方や、病気になられた方々がいらっしゃったため、普段より10名ほど少なくなります。
計40名、うち男性12名、女性28名になります。

 

[プログラム]
1.挨拶
→はじまりの挨拶、そして季節の話をさせていただきました。
本日の天気が雨ということもあり、6月の話、梅雨の話と少しさせていただきました。

 

2.準備運動
呼吸法・発声法と実施。
今回の発声法では、「笑う」ということを取り入れました。

→お腹を意識して、「笑う」ことをしていただきました。一度見本を兼ねて前でさせていただくと、それにつられて笑っていただきました。そして本番で笑っていただくと、前列の方がお腹をかかえながら笑っていただき、しっかりと声に出しながら笑っていただけました。

 

3.季節の歌
『あめふり』と『雨降りお月』を歌唱。
歌唱前に曲の説明、そして歌唱後にももう一度質疑応答をしながら説明しました。

→『あめふり』では、ほとんどの方が手拍子を取りながら歌唱していただきました。
『雨降りお月』では、2番の説明(メロディーが違う事など)を先に実施しましたが、特に難しい様子もなく、唄っていただける姿が多く確認できました。
質疑応答にもしっかりと答えていただけました。

 

4.手遊び歌
『かたつむり』を歌唱。同時に手遊びも実施。
手遊びの内容は、「手拍子→足→グー→パー」といった内容になります。

→季節の歌の最後に、「他に思いつくような雨の曲、6月の曲は何かありますか?」と聞くと、「てるてる坊主!」や「でんでん虫!」と答えていただけました。
そこで、『かたつむり』の模造紙をめくりました。
先ずは、曲の説明しその後歌唱しました。
歌唱後には再び質疑応答を設けました。
「最近、かたつむりは見ますか?」と聞くと、「最近は見ないね。」「昔はよく見たけど最近は少ないですよ。」としっかりと教えていただき、「かたつむり」に関する話をさせていただきました。
「かたつむりが何を食べているのか?」「かたつむりに歯があるのか?」といったことを質問し、答えていただきました。
その後、手遊びの説明をし練習しました。
手遊びでは、少し難しいように見えましたが、諦める方は1人もいらっしゃらず、笑いながらも何回も諦めず挑戦をしていただきました。

最終的には、前列の方々は全員唄いながら参加していただき、寝たきりの方が多い後列では、スタッフ様が横についていただき、指の形を作っていただけました。

 

5.合奏
今回の合奏では、リクエストより『桃太郎』の曲にて実施しました。
前の模造紙を見ながら、楽器を持っていただき合奏をしました。

→合奏の前に曲の説明と同時に、桃太郎の童話の話の説明も実施しました。
先ず、「桃太郎に出てくる人や動物は誰がいてましたか?」と質問すると、
前列の男性が「キジ!」と答えていただいたのが始まりでその後続けて「犬!」「猿!」と答えていただき、中には「うさぎ!」「亀!」「太郎くん!」と答える方がいらっしゃり、それを聞いた方が笑っていただき、場が和みました。
そして童話を話すのと同時に質問もしました。
「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ?おばあさんは川へ?」と聞くと多くの方が教えていただきました。

そして合奏では、6番まで曲に合わせて鳴らしていただきました。
今回は、以前も実施をしたことがあるのですが、一名の男性だけが太鼓を持っていただき、他の方は鳴子を使っていただきました。
その男性は、徘徊が多いとのことでスタッフ様と一緒に参加していただき、合奏の時に「太鼓を持っていただくと、前に集中して徘徊せずに参加いただける」ということが分かっていたため太鼓を持っていただきました。
すると、やはり太鼓を持っていただいた男性は、前の模造紙にしっかりと集中をされリズム通りに鳴らして終始徘徊が無くその後のプログラムも徘徊せずに参加いただけました。

「桃太郎」に合わせて実施していただいた後に、急に女性から「浦島太郎も(童話の曲として)一緒ですよね?」と話をしていただき、それにつられてまた別の女性が急に「昔々浦島は~」と唄われ、その方は5番まで大声で歌詞も無しで思い出して唄われました。
中には3番まで一緒に唄われる方が多くいらっしゃったのですが、急遽始まった歌唱にも関わらず5番までしっかりと思い出して唄われました。

本当なら止めるべきでしたが、唄われる姿をスタッフ様や他の方々が「すごい!」と言いながら見ていたため曲の最後まで唄っていただきました。

 

6.懐メロ
『タバコ屋の娘』『ミネソタの卵売り』を歌唱。歌唱前に説明、そして歌唱後にも再び質疑応答と説明を設けました。
そして昭和26年に関する年表にて当時の出来事・流行・流行歌と説明、回想をし、回想を深めるために当時の流行歌も聴いていただきました。

→『タバコ屋の娘』では、歌唱しながら笑われる姿が多く確認できました。
歌唱後には再び模造紙を見ながら1番から6番まで説明をしました。
物語性がある為、説明を前のめりになりながら聞き笑っていただきました。
その後の、『ミネソタの卵売り』でも歌唱後にも模造紙を見ながら説明をしました。
中には、「今日のお昼ごはんに卵ありましたよ!」と教えていただける方もいらっしゃりました。
その後の昭和26年の年表を書いた模造紙では、
「力道山は何で活躍をされましたか?」や
「紅白歌合戦でトリに唄われた曲は何でしょうか?」や「当時の娯楽でパチンコがありましたが、どうやってやりますか?」などの質問には、1人だけでは無く多くの方が答えていただけ、パチンコの話では親指にて玉を弾く身振り手振りも教えていただけました。
そして十分回想されてる様子が見れたのでそこから「当時の流行歌で津村謙さんが唄われた歌があります。その曲を聴いていただきます。」と言い『上海帰りのリル』を聴いていただきました。
すると、後列の寝たきりの女性が急に目を覚まし、前奏が流れた途端車イスの手すりを持ち上体を起こされ、曲を聴く様子でずっと目を開け前を見られていました。
その方以外にも前奏が流れた途端に「リルのやつやな」と言われたり、目を閉じながら指揮を取られたりと幅広く様子がよく見れました。
回想や曲の刺激としても今回もよく見ることができました。

 

7.クールダウン
『夕焼け小焼け』をピアニカの音に合わせ歌唱、クールダウンをとり静かに終了しました。

終了はちょうど一時間になります。

 

[記録・反省]

・合奏では上記でも書かせていただきましたが、本来なら合奏の終了をしないといけませんが、急遽曲無し歌詞無しにて「浦島太郎」を思い出して5番まで歌唱されました。
もちろんセラピストも5番までの歌詞は覚えていましたが、本当に5番まで唄われるとは思いませんでした。
一見、スタッフ様や利用者様からすると良いことや凄いことのように思えますが、合奏の流れでこのまま興奮しないようにという配慮をセラピストは注意しました。
これは、合奏だけでは無く他のプログラムのときも起こり得ることなので注意したいと思います。

・懐メロでは、今回もしっかりと回想ができていました。当時の話を聞き出すということでは、ここ最近よく教えていただけています。

・今回は「笑う」ということをプログラムの内容に多く入れ、その中でも『タバコ屋の娘』や『ミネソタの卵売り』が非常に人気でした。
歌唱中に笑う姿や、説明中に笑う姿、そして今回の参加いただけた方の中に全身麻痺や顔面麻痺の方もいらっしゃり、その方々が笑われる姿も確認できました。
これはスタッフ様もびっくりされており、写真を撮り「ご家族様が喜ばれます」とも仰っていただけました。

・そして、実は一名の女性の方が今回の音楽療法の前々日に亡くなられました。
その女性は、第一回目からずっと参加していただき、自ら「ファン1号」と仰っていただいてました。急に体調が悪化し、今回の音楽療法に参加できないままお亡くなりになってしまいました。お年は100歳になっており、以前も誕生日祝いを音楽療法の日に実施して、その時にご家族様も非常に喜んでいただいてました。
その100歳のお誕生日の写真(セラピストとのツーショット写真)をずっと部屋に飾っていただき
喜んでいただいてました。
スタッフ様からも「先生と会うときは普段よりお化粧を直したり、一番前の席を30分も前から座られたりと、本当に楽しんで2年間ずっと音楽療法参加していただけてました。」と教えていただけ、私も本当に嬉しく思いました。

他の方々にももっと密になれるように、効果的で楽しんでいただけるようにこれからも努めてまいります。