ミュージックインストラクターズ養成学院

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記

第二十七回「回想と刺激、そして歌唱」

第二十七回特別養護老人ホームの音楽療法が終了しましたので、アセスメント・プログラム・記録等を報告させていただきます。

 

[アセスメント]
今回は全員で、46名になります。
うち男性が15名、女性が31名になります。
普段より男性が多いと思えます。
そして、今回も音楽療法に合わせてショートステイをされている方が多く来られていました。

今回は、施設が「七夕行事」をされており、それに合わせて実施していただきたいという依頼になります。
事前に入所者様の短冊を読ませていただき、それを前で挨拶の時に発表してほしい、との事です。

 

[プログラム]

1.あいさつ
はじまりの挨拶、そして七夕行事の話と、7月の季節の話等をさせていただきました。

→先ず、皆様に挨拶をさせていただきました。そして七夕行事に合わせ、「七夕の短冊を書きましたか?」と質問をし、事前に見させていただいた短冊を前で読ませていただきました。
「病気をしないように」
「長生きできますように」
「皆様が幸せになりますように」
「元気でいつまでも楽しく歌を唄えますように」
「美味しいものをたくさん食べたい」
「まんじゅうが食べたい」
と沢山の短冊を前で読ませていただきました。
読んでいる中で、「私の!」と手を挙げていただけたりと教えてもいただけました。

 

2.準備運動
呼吸法と発声法を実施。

→呼吸法は、施設側からの希望もあり「風車」を使用しました。
大きく吸ってゆっくり吐く、ということを事前に説明をし、風車をしっかりと回していただきました。
ショートステイで最近ご利用いただいてる方は、以前使用した風車(前は昨年の10月)を回している姿を見た事がない、ということもあり、
施設側からの希望により、使用させていただきました。
風車は、しっかりと回していただく姿が前列後列と確認できました。
寝たきりの方にはスタッフ様の補助もしていただき、一緒に吹いていただきました。
ショートステイの方には、「きれいやね!よくこれ回るわ!」と笑顔でスタッフ様に答えていただいてました。

 

3.季節の歌
七夕行事を兼ねて『七夕さま』、そして『夏は来ぬ』を歌唱。
事前に曲の説明をさせていただきました。

→先ず、歌唱前に七夕に関する質疑応答を設けました。
簡単な内容で、「七夕は何月何日ですか?」といったことから、他にも「彦星と誰が出会いますか?」「川の名前は何でしたか?」ということを質疑応答しました。
しっかりと「7月7日!」と答えていただき、他の質問にも「天の川!」「織姫さん!」と様々な方から教えていただけました。
中には「乙姫さん!」と答えていただいた方もいらっしゃいましたが、「惜しいです!乙姫さんは竜宮城に居てますよ!」と言うと、答えた方やその周りの方は大笑いされ、「ほんまやほんまや!浦島太郎や!」と教えてもいただけました。
その質疑応答後に、歌唱に入りました。
歌唱は特に問題もなく、中には歌唱しながら手を振りながら動かし「キラキラ」といった動作をされました。

そして二曲目の『夏は来ぬ』も歌唱前に少し説明をさせていただきました。
歌詞を見ていただくと「あー!」と「懐かしい」という表情をされ、5番まで唄っていただきました。
こちらも歌唱に関しては問題ありませんでした。
少し長い曲ですが、特に声量が落ちることもなく、しっかりと5番まで歌唱できていました。

 

4.手遊び歌
『うみ』を歌唱、そして同時に手遊びを実施。
手遊び内容は、
①指で1(親指)→2(親指 人差し指)→3(親指 人差し指 中指)→手拍子
②①を逆から
③2→手拍子→1→3(順番を入れ替える)
になります。


基本的に唄いながら手遊びをする、ということはほとんどの方ができていました。
手遊びの内容もしっかりと指を伸ばして出していただき、②③では、途中で遠くから大きな手拍子が聞こえ、間違われる方もいらっしゃり、それに対して笑い声も聞こえました。
特に③では、途中から2の指で止まったままの方が前列にいらっしゃり、その方の前で指示をすると手を叩いて笑われ、何度も何度も面白おかしく挑戦をされました。

 

5.合奏
『われは海の子』に合わせ、合奏を実施。
合奏内容は今回は三三七拍子や楽器を振る、ということを重視したものになります。

→先ず、模造紙を見ながら合奏の説明をすると前のめりになりながら真剣に話を聞かれる方が多くいらっしゃり、一度練習をしました。
鳴子を使い、合奏を実施しましたが、鳴子にて手首をしっかりと動かして鳴らす利用者様が増えている、とスタッフ様にも教えていただきました。
そして本番では、きれいに音が揃い、曲の終了と同時に音が一致して止まり、レベルの高い合奏内容が本番ではできました。
そして、スタッフ様に終了後に話を伺うと、
「三三七拍子に合わせて鳴らすと笑顔になる方が多かった」と言っていただきました。

 

6.懐メロ
今回はまずはじめに「昭和27年」の時代説明を模造紙にて実施しました。
その後、昭和27年に関連し、
『ゲイシャワルツ』『憧れの郵便馬車』を歌唱しました。

→はじめに模造紙にて昭和27年の出来事・流行・流行語・流行歌を説明しました。
そのなかでもいろいろと質疑応答をさせていただき、
「白井義男」という言葉を出すだけで「あー!ボクシングの人や!」とジェスチャーも加えながら教えていただく方が多くいらっしゃりました。他にもいろいろな言葉に対して答えていただける姿が見え、文字を見るために前かがみになる方も多くいらっしゃりました。

そして、「テネシーワルツ」の紹介後に『ゲイシャワルツ』の模造紙に移りました。
やはり人気のある曲ということと、当時のことを回想しているということで「神楽坂はんこさんの曲やね?」や「あー!懐かしい曲!」「これ唄ってよく怒られた!」など歌唱前に様々な情報が引き出せました。
そして曲の説明後に歌唱。歌唱は、大きな声でしっかりと唄っていただき、中には自ら手だけで踊る方もいらっしゃりました。

その後、同じく昭和27年の『憧れの郵便馬車』を説明、歌唱しました。
ここでは、スタッフ様から終了後に聞いた話で、
「聴くだけのことが多い利用者様2人がこの曲はしっかりと唄われていた。」とのことで、担当の方がびっくりされていました。

そしてさらに、昭和27年の曲『お祭マンボ』を曲名を伏せて聴いていただきました。
ここでは、曲のイントロと同時に手を叩かれる方や「お祭マンボや!」とすぐに答えていただける方が多く確認できました。
病気にて麻痺の残る男性がお祭マンボの速い歌詞を一生懸命口を開け唄われ、イントロだけでも力んで顔が真っ赤になり、1番2番を唄い終わるとホッとする表情が見れました。

(他にもいろいろな事が確認できました。記録の欄に記載させていただきます。)

 

7.クールダウン
『夕焼け小焼け』をピアニカの音に合わせ静かに歌唱。クールダウンをとり終了しました。

終了時間は15時ちょうどの一時間になります。

 

[記録・反省]

・最近では、利用者様のご家族様が見学に来られる事が多く、今回も3組のご家族様が来られていました。
施設側からもご家族様方によく言われる事で、「音楽療法の日は普段と違う顔をされているので、是非とも音楽療法の日にお越しください。」と言っていただいてます。
すると、終了後には「私も楽しめましたが、母親も喜んで笑っている姿や唄っている姿が見れてよかったです。」とご家族様に声を掛けていただけました。

そこで、施設様からの提案で、9月に施設でのイベントで「敬老会」をするとのことで、その敬老会はご家族様が一緒に参加いただき、ショートステイの方、そしてグループホームの方と来られて大規模なイベント(ご家族様含め約100名の参加)となります。
その敬老会に是非とも音楽療法をしていただきたい、ご家族様に音楽療法を受けている楽しい表情を見ていただきたい、との依頼で、承りました。
このイベントはまだ進め方や内容が半分程しか決まっていないとのことで徐々にスタッフ様と話し合いながら実施していく予定になります。

・最近、声が小さく言葉が少なくなっているという利用者様が今回は口をしっかりと開けて「七夕さま」を唄われていた、その後の曲も口を動かしている姿が一時間しっかり確認できた、とのことでした。非常に心配をしており、「しっかりと口を動かして、声を出していただけるよう今回の音楽療法に頼っていました」とのことでした。

・懐メロでは、(上記にも書かせていただいた内容を含みます。)
聴くことが多い利用者様が『憧れの郵便馬車』を唄われている姿が非常に珍しくびっくりした、とのことでした。
計算をするとこの曲が流行している時代は学生時代ということがわかり、恐らくその時代を振り返り回想し、刺激になったのではないか?と考えれました。
割と2年間ずっと参加いただいてる方で、セラピストの立場からしても、「あまり歌唱をしない、歌唱をしても小さく口を開ける」という印象でしたが、セラピスト含めスタッフ様方もその姿にはびっくりしました。
選曲が今回は良かったかと思えます。

・今回もターミナルケアのベッドでの参加をいただいてる方が一名いらっしゃいました。
スタッフ様が横につき、手を取りながらはじめから参加いただいていました。
そこで、合奏の時に急に楽器の音で強く目を閉じられました。横についていたスタッフ様はそのときに他のスタッフ様にも確認していただき、何か刺激があったのか?とその場で判断されていました。
そして、懐メロ2曲の歌唱、そして本人曲を聴いていただいたときは、目だけでなく、口もモゴモゴと動かされて懐メロのプログラムの間過ごされていた、とのことでした。
酸素マスクも付けられていましたが、マスクには水滴も付いており、「恐らく唄われていた」とスタッフ様に教えていただけました。

・普段参加いただいてる男性の方で、終了後いつも車椅子を自ら押して前に来ていただける方が今回も来ていただきました。そのときに、「お祭マンボは聴いたときに青春時代に戻りましたよ。昔に○○の祭りがあって…」としっかりと回想をされ、情報を教えていただきました。

全体的に今回は懐メロにて回想がよくわかり、様々な方の表情が確認できたプログラムになりました。