お知らせ・ブログ
NEWS BLOG

2020.07.03
特集

音楽療法士〜資格取得後の奮闘記 第三十八回 「秋プログラムに合わせた変化」

第三十八回特別養護老人ホームすばるの音楽療法が終了しましたので、
アセスメント・プログラム・記録等を報告させていただきます。

 

 

[アセスメント]
今回は2ヶ月ぶりの実施となります。
参加数40名、うち男性が11名、女性29名になります。
初参加の方が多く見れました。
お話を伺うと、ここ1ヶ月の間に入所された方が多くいらっしゃったので、アセスメントとしてお話をしました。
「今から何するの?」と話をしていただいたので、「音楽教室です。いつも月に一回皆様に声を出していただいて楽しんでもらってるんですよ。」と話すると「みんなで歌うの?1人やと嫌です。」と返され「皆さんで歌いますよ!ただ歌うだけじゃなくて懐かしんでいただいたり笑っていただいたりするので!」というと、「それなら良かった。楽しみにしてます!」と笑顔になっていただけました。

他の以前から来られてる方は「あっ!先生こんにちは!」「この前1ヶ月空いてるよね?」「今日から秋の曲か!」など多くの声を掛けていただけました。
基本的には、もう音楽療法はすっかり馴染みにもなっているため見当識や、1ヶ月の中のイベント、ということは入居者様からは理解できているものです。

 

 

[プログラム]

1.あいさつ
はじまりの挨拶にて、見当識を確認。
表情も確認して明るく対応させてもらいました。 慣れてる方も多い為、日付の確認や季節の事など質疑応答にはしっかりと答えていただきました。

 

 

2.準備運動
呼吸法と発声法を実施。
発声法は、お腹から声を出す。それに合わせて身振り手振りを合わせていただきました。
発声法の内容は「エイエイオー!」「わっしょいわっしょい!」「ヤッホー!」とお腹を意識して声を出し、そして手を挙げたりと身振り手振りも加えました。
しっかりと声は出ていたので特に問題はありません。 この発声法で中には笑われる方もいらっしゃるのでここも冗談を交えながら実施しました。

 

 

3.季節の歌
『赤とんぼ』を歌唱。そして曲の質疑応答、説明、さらに今回は「山田耕筰」についての説明も実施。

→歌唱に関しては特に問題ありません。
声もしっかりと出ており秋の曲は毎年人気にもなります。
その後、曲の説明をしたときに質疑応答を多く交えました。
「赤とんぼは見ますか?」
「桑の実はありましたか?」
「とんぼの捕まえ方は?」
と質疑応答すると、全てに多くの方が反応していただけました。
とんぼの捕まえ方の質問では、やはりほとんどの方が指でクルクル回す動作を見れました。
そういった質問でも「あー!昔そんなことやってたね!今の子供は知らないでしょ!」という発言もありました。
そういった質疑応答はしっかりとできたので、今回は「山田耕筰について」の紙を用意し、見ていただきました。
こういった紙は皆様から非常に人気でいつも楽しみにしていただいてます。
そして、説明時に「他にもペチカという曲も作られ、」と言うと、初参加の方が「ペチカって何ですか?」と聞かれ「ロシア語で暖炉のことなんですよ!曲は知ってますか?」と聞くと、「はじめ教えてくれたらわかる。」と言っていただき、すると、他のところから「雪の降る夜は楽しいペチカー!」と男性の歌声が聞こえました。するとそれに刺激され他の方も一緒に唄われました。
気付くと1番をしっかりと最後まで思い出して唄われていました。
良い相乗効果にもなりました。

 

 

4.手遊び歌
『旅愁』を歌唱。その後同時に指の体操も実施。内容は、1番は、手拍子→足に手を置く→グー→チョキ。2番は、手拍子→足に手を置く→片方がグー、もう片方がパー→入替。という内容になります。

→歌唱は問題ありません。
やはり秋の曲が毎年人気ということもあり、声もしっかりと出ており声も大きく聞こえました。
手遊びは、以前までの内容を振り返ると、手拍子を入れた内容だと参加率も多く手を出される方が多いという統計もあったためこういった内容になります。
その為か、参加率は高く、手拍子の音もしっかりと聞こえていました。
難しい方は笑われたり、途中から「先生難しいわ!」と笑いながら言われたりとされていました。
手遊びが終わると、後列の方が「はぁ!」とため息が聞こえ、それに刺激されて笑い声もおきました。
参加率も高く、同時に唄うことも特に問題ありませんでした。

 

 

5.合奏
『憧れのハワイ航路』を本日は実施。
合奏では、様々な楽器を使用し、バラバラの音を敢えて使いました。
合奏内容は「鳴らす」「振る」「止める」と基礎的な内容から「三三七拍子」といったリズムと挑戦をしました。

→曲はやはり人気ということもあり、同時に唄う方も多くいらっしゃいました。
楽器は鳴子、スズ、太鼓と音が違うものを使いました。
本番では、キレイに鳴らすこともできており、慣れない方は周囲の音に合わせて鳴らしたり止めたりと考えながらされていました。
なるべく1番2番と持ち手を変えても実施しました。
合奏曲が終了した後に「これって岡晴夫やんな?他に何あった?」と言われたので、少し紹介をしました。
「啼くなー小鳩よー!」と唄うと、多くの方が反応されて一緒に唄われました。他にも「青い芽をふくー、柳の辻にー、」と唄うとこれも同じく思い出して唄えていました。
せっかくなので、曲なしで思い出して「東京の花売り娘」を唄っていただき持っている楽器にて即興の合奏も実施しました。

実はこれはすでにこちらで考えていた内容でもあり、良好でした。
歌詞を思い出せており好きなリズムを自分で取られて即興の合奏というものになります。
今回の反応にて効果も実感できましたので、これをさらに磨けばまた違う楽しみと効果にもなるかと思えます。

 

 

6.懐メロ
①昭和27年の回想
②昭和27年の流行歌一覧
③「赤いランプの終列車」を歌唱
④当時の曲の回想
⑤「お祭りマンボ」を歌唱
という流れになります。


①はこれも毎回人気のある内容で、今回は敢えて年代を落としました。初参加の方の年齢も考慮してなるべく答えやすい内容になります。
初参加の方には、その中で「白井義男」という名前に「ボクシングの人!」と答えられたり、スポットを当ててみました。
他の内容もその人だけでなく多くの方に答えてもいただけました。

②は流行歌を紙にまとめました。
「山のけむり」の説明でも反応される方も多くそれ以外にも「伊藤久男」という字を指差し「この人他に何ていう曲唄ってたっけ、」と考えられる姿もありました。
「テネシーワルツ」や「リンゴ追分」と1つずつに頷かれる方や隣同士で相談される方と多くみれました。

③②の中にある「???」春日八郎
と書いた内容に、ほとんどの方が「お富さん」と思われていた様子でしたが歌詞を見せると「赤いランプの終列車」が出て「あー!」と聞けました。
そして説明、歌唱に入りました。
歌唱も特に問題なく、中には自ら指揮を取られる方や手拍子を取られる方と見れました。

④②の途中で本人曲も取り入れました。中でも「ゲイシャワルツ」は非常に人気で4番まで飽きることなく聴いていただけました。
(もちろん説明も加えました。)
他にも「リンゴ追分」も聴いていただき回想していただきました。

⑤最後に「お祭マンボ」を歌唱しました。
もちろん早口にもなりますがテンポは敢えて当時の曲に近く実施しました。
曲の途中の「わっしょいわっしょい!」や「そーれそれそれお祭りだー!」では大きな声もよく聴けました。
曲の最後の部分は皆様が声を出されて唄えてもいました。

曲の年表も前回に続き非常に人気にもなります。当時のことを隣同士話しされたり、終了後に話ししていただけたりと効果的にもなります。

 

 

7.クールダウン
『夕焼け小焼け』を歌唱し、静かにクールダウンをとり終了しました。

時間は1時間ちょうどになります。

 

 

[反省・記録]

・初参加の方がアセスメント時にわかっていたので、プログラムも寄せてました。
歌唱や質疑応答がアセスメントだけではいまいち不明ではあったのでなるべくセッション中に当てて答えれるようにしました。

・以前から参加している方も発言はよくあり、中でもアセスメント時に話を多くしていただけたのがびっくりしました。
1ヶ月空いたことや、見当識がしっかりとされていること、曲についての隣同士の会話などが、以前より優れていることも間違いなくありました。

・合奏は上記にも記した通り、「関連して回想」というやり方を考えています。
非常に発言の誘導もしやすく、同時に回想もできるため次のプログラムでもなるべく取り入れたいとおもっています。